ゼロから始める組織変革

寿命100年、仕事人生70年。何かしらの組織に属する以上、選択肢は3つです。「変える=変革する」「あきらめる=適応する」「やめる=切り替える」。これまでの「ノンテクニカルスキルとは」「組織変革までの道のり」を十分に理解した上で、「やっぱり1人からでも組織を変革する力を身につけたい」と立ち上がる勇敢な方に最大限の敬意を表します。このページでは、そんな勇者が1人でジャングルに入っても、モチベーションが下がらないで、生還する方法を紹介します。ちなみに、この時点で「問題解決作成シート2.0」を踏破していることをおすすめます。


まず、組織を変えられるために必要とされる自己変革、個人学習についておさらいです。基本的に、1.個人学習 → 2.組織学習 → 3.組織変革の順に、学習したものが「良い変革」へとシフトしていくのが理想ですが、それは幻想です。なぜなら医療介護業界では個人学習(インプット)のみでとどまるケースが非常に多く見受けられるからです。それに併せて、専門職としてのDNA ( 歴史に埋もれた専門技術 ) やプライドが邪魔をして、高額の研修会や学会参加等で個人学習を積んでも、組織にとってはメリットがない状況に陥ることも少なくありません。


例えば、目的がない学会参加はどうでしょうか?

各セクション毎に小会議室に入り、10分後には「寝る」「帰る」。そして組織に戻ってからレポートを書くころは「忘れている」。必死になって学習したことも、いざ伝達講習の場になって「反応が薄い」「共感を得られない」「上手く説明できない」。往々にしてありませんか?

したがって、学習単位を「個人」ではなく「組織」以上に展開しなければ意味をなさない事に気がつきます。


これまで、個人学習についての否定的な意見を述べました。今度は、肯定的に捉えていきましょう。「個人で学習しても限界があるから」といって、簡単に自己変革をあきらめなくても良いのです。それは人間の能力開発は「学習×練習」、つまり「わかるための学習」が小さくても「できるための練習」で何倍、いや何十倍もに拡がる可能性をみせるからです。

どんな環境や状況であれ、練習を繰り返すことが大切!


では具体的にみなさんの現場を思い浮かべてください。在宅場面などを除く全てのサービスは、勤務先または配属先がホームで、そこが就労現場になっています。つまり、パフォーマンスを向上させるために練習会場を抑える必要もなければ、試合や本番を想定した環境を整える必要が少ないという事です。

つまり変革者に求められるのは、学んだこと以上に、組織相手に練習をすることが重要です。

そのための練習プランは問題解決作成シート3.0で合理的に計画、実施しましょう



組織における練習プランの準備

まずは組織について考えるための材料集めです。プロの料理人が市場に出向いて、一流の食材を見極め、買いつけてくる作業に似ています。

それは「食材の鮮度をみる、置いてある食材同士を比べてみる、普段はない発想で食材を活用する」。この3つを組織に置き換え、疑いながら考えます。

1つ目は「食材の鮮度をみる」です。これは組織が造られている1つ1つの材料に対して、鮮度の違いを考えていきます。

2つ目は「食材同士を比べてみる」です。これは見る眼を複数もち、同じ部署や職種、配属先などでも様々な角度から物事を考えていきます。

3つ目は「普段はない発想で食材を活用する」です。これは常識的な範囲で人材をみるのではなく、思いもよらない姿として人材を活用することを考えます。

3つの疑いを、それぞれ合理的に考える

構造に対して「鮮度」の違いを合理的に考えることで、組織で練習した時の反応の違いが変わって見えてきます。それは新鮮な食材だとわかって食べても「やっぱり新鮮だから美味しい!」という反応をとる人間の感覚と似ています。ただ感覚を実力と勘違いされても困ります。

プロの料理人と一般人が最も違うのはここです。人間は「見たいものだけをみる」「相対的にみる」「見えない視野を補完してみる」と脳が勝手に処理しています。同じカテゴリー内でも、何が違うのかを疑い続け、視点を変えてみることが大切です。次第に、練習相手によって興味を示す範囲が変わってくることに気がつきます。

常識やルールを疑うことが重要ですが、ただ単に批判的になるということではありません。普段から食している食材でも、思いもよらない姿・形で人々を魅了することができる。という演出にこだわった人材活用を考えることが大切です。





自己のパワーを読み解く


組織への影響力を読み解く




ここで大事なのは自分自身のパワーと組織への影響力を見極め、これからやろうとしている練習に無理がないか、問題設定のサイズ感やボリューム調整を間違わないように前提条件を置くことです。練習効果に影響する負の要因をあらかじめ予測し、バイアスを最小限に抑えるのです。


組織において人を動かすプロセスを考える

ここまでは問題解決シート3.0の「現状」を把握しているにすぎません



ここまで踏破すれば、問題解決作成プラン3.0にて、組織における練習方法が明確なものとなるはずです。

つまり、それが中身のある戦略(戦いを略す)ですので、ジャングルというサバイバル環境でも生き残れる手段になります。

最後に、グローバル化によって多様な社会が変化を続けている世の中です。医療介護業界にも大きな荒波が押し寄せます。その時に大切にしたいことが、「みんな違ってみんな良い」ということです。いくら合理的に物事を考えても、価値観の相違が起こります。ですので近年、価値観の定義をする会社が増えてきています。


価値観の相違にもとづく





自己変革から組織変革に踏み入る代償を乗り越えるためのリスク管理





組織変革には「中から空気を変える事の難しさ」が存在します。それはどんなに中だけで空気を変えようと頑張っても「扇風機で室内の同じ空気を循環しているだけ」に過ぎません。もしくは周りから「あの人の近くは風当たりが強い=不快な存在」ともなりかねないのです。ですので、外からのチカラや仕組みを導入する事が必要不可欠です。そして、外からの仕組みや仕掛けについて共鳴するパートナーは「室外機のような存在=ノンテク理解者」を置くことが肝要です。なぜならノンテクは「頑張っている人が報われる組織づくり」を全力で応援できるように素晴らしくデザインされている武器だからです。